睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が何度も止まったり浅くなったりする病気です。多くは、のどの空気の通り道が狭くなる「閉塞性睡眠時無呼吸」が原因です。呼吸が止まるたびに体の酸素が下がり、眠りが浅くなるため、日中の眠気や集中力低下につながります。また、高血圧や心臓・脳血管の病気などと関係することもあるため、早めに検査し、適切に治療することが大切です。
睡眠時無呼吸症候群は、決して珍しい病気ではありません。近年の報告では、日本の成人における閉塞性睡眠時無呼吸は約15%前後にみられる可能性があるとされています。特に中等症以上に限っても、成人男性の約20%、閉経後女性の約10%が該当する可能性があるとの報告もあります。一方で、実際に診断や治療を受けている人は一部にとどまり、多くの人が未診断のままと考えられます。肥満は重要な原因ですが、日本人ではあごの形や鼻づまりなどの影響で、肥満がなくても発症することがあります。
睡眠中に酸素不足と浅い覚醒が繰り返されると、心臓や血管に負担がかかります。放置すると、高血圧、心筋梗塞、脳卒中、不整脈、糖尿病などのリスクと関係することがあります。また、日中の眠気により仕事や学業の能率が下がったり、居眠り運転の危険が高まったりすることもあります。
診察では、いびき、眠気、睡眠時間、生活習慣、持病、内服薬などを確認します。そのうえで、睡眠中の呼吸や酸素の状態を調べる検査を行います。
検査では、1時間あたりに無呼吸や低呼吸が何回起こるかを示す「AHI(無呼吸低呼吸指数)」を確認します。一般に、AHIが高いほど重症と考えます。重症度の目安は、AHI 5以上15未満が軽症、15以上30未満が中等症、30以上が重症です。症状や合併症の有無も合わせて、治療方針を決めます。
治療は、無呼吸の重症度、症状、合併症、生活背景に合わせて選びます。主な治療には、CPAP療法、マウスピース、減量、飲酒を控えること、横向きで寝る工夫などがあります。鼻づまりがある場合には、アレルギー性鼻炎などの治療を行うことで呼吸がしやすくなり、CPAPも使いやすくなることがあります。鼻中隔弯曲などで鼻の通りが悪い場合には鼻中隔矯正術を、扁桃が大きくのどの狭さに関係している場合には口蓋扁桃摘出術を検討することがあります。
中等症から重症の閉塞性睡眠時無呼吸では、CPAP療法が中心的な治療になります。日本では、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)でAHI 15以上、または簡易検査でAHI 30以上など、検査結果や症状に応じてCPAP治療が保険診療の対象となる場合があります。
CPAP(シーパップ)は、眠るときに鼻、または鼻と口を覆うマスクを装着し、機械から空気を送り込む治療です。空気の圧でのどの通り道を広げ、睡眠中の無呼吸やいびきを減らします。手術ではなく、自宅で毎晩行う治療です。当院では、検査結果に応じてCPAP治療の導入と継続管理を行うことができます。保険診療でCPAP治療を行う場合は、機器をレンタルし、定期的に受診して使用状況を確認します。
使い始めは違和感があることもありますが、マスクの種類やサイズ、加湿、圧設定などを調整することで楽に使えるようになる場合があります。困ったことがあれば自己判断で中止せず、医師や医療スタッフに相談してください。CPAPは、毎晩続けて使うことで効果が出やすくなります。
「いびきが大きい」「寝ている間に息が止まっている」と言われたことがある方、日中の眠気が強い方、朝の頭痛や熟睡感のなさが続く方、高血圧や心臓・脳血管の病気がある方は、医療機関で相談しましょう。睡眠時無呼吸症候群は、検査で状態を確認し、自分に合った治療を続けることで、症状の改善や将来の健康リスクの軽減が期待できます。