急性鼻炎とはいわゆる鼻かぜのことで、鼻内に炎症が及ぶことで起こります。大部分がウイルス感染によるもので、感冒の一症状とされます。鼻処置で鼻通りを良くし、ネブライザー（霧状にした薬剤を吸入する吸入器）を用いることで、炎症が改善しやすくなります。

場合によっては急性中耳炎や急性副鼻腔炎を起こす可能性がありますので、小さなお子さんは早期に治療を開始することが大切です。

アレルギー性鼻炎は、スギ花粉などによって引き起こされる季節性アレルギー（花粉症）と、ダニやハウスダストなどによって引き起こされる通年性アレルギーに大別されます。

症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどです。
花粉症は、春はスギ・ヒノキ花粉、夏はイネ科植物、秋はブタクサやヨモギなど、季節によってアレルゲンとなる花粉の種類が異なります。複数の花粉にアレルギーが認められる場合もあります。

治療は薬物療法が広く行われており、症状や重症度に応じて抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬などを使い分けます。鼻づまりなどのつらい症状を軽減するために手術療法を行うこともあります。
アレルギーの原因を除去・回避することも重要です。帰宅時や洗濯物を取り込んだ際に服などについた花粉をよく払ったりすることも有効です。

近年ではアレルギー減感作療法として舌下免疫療法や、生物学的製剤の1つである抗体製剤なども使用される機会が増えてきました。アレルギー性鼻炎は、正しい診断と治療で症状の改善が期待できます。つらい症状にお悩みの場合はお早めに耳鼻科を受診していただけましたらと思います。

急性副鼻腔炎は、風邪の症状に続いて副鼻腔（鼻の周囲に存在する鼻腔と交通する空洞）にウイルス感染や細菌感染がもたらされることで起こります。

主に鼻づまり、膿のような鼻汁、後鼻漏（こうびろう：鼻汁がのどへ流れ落ちる症状）、咳や痰、嗅覚障害などをきたします。副鼻腔という限られた空間に膿が溜まるために頭痛、顔面の圧迫感や、炎症の程度によっては発熱を伴うこともあります。後鼻漏により、湿った咳で悩まされることもあります。

鼻処置、ネブライザー療法や抗菌薬投与による治療を早期に開始することが重要となります。

副鼻腔炎が長引いて慢性化（3カ月以上）したものが慢性副鼻腔炎です。いわゆる蓄膿症（ちくのうしょう）と呼ばれるもので、完治するまでには長期間の治療が必要となります。

症状は粘性や膿性の鼻汁、鼻閉、後鼻漏で、蓄膿のために嫌なにおいを感じたり、嗅覚障害を伴ったりもします。頭痛や頭重感、顔面痛などを認めることもあります。また、鼻内にポリープ(鼻茸)ができるケースもあります。

治療は急性の場合と同様に鼻処置、ネブライザー療法や抗菌薬投与などの治療を継続して行きます。改善が乏しい場合やポリープが形成されている場合には手術療法が必要となることもあります。
難病に指定されている好酸球性副鼻腔炎が潜んでいることもあります。長期に渡り、鼻閉、鼻汁、後鼻漏、嗅覚障害などに悩まれている方はぜひ耳鼻科を受診してください。

鼻中隔（びちゅうかく）とは、左右の鼻を真ん中で隔てている壁のことで、骨と軟骨で構成されています。この鼻中隔が左右どちらかに弯曲しているのが鼻中隔弯曲症で、鼻閉感の原因となります。

弯曲の程度がわずかであれば鼻閉感はあまり感じません。しかし、左右のどちらかに大きく弯曲している場合は、片方の鼻がずっとつまるようになります。頭痛、いびきの原因にもなります。また、鼻炎や副鼻腔炎を併発しやすくなり、そうなると更に鼻閉が強くなるといった悪循環に陥ります。

鼻中隔弯曲症には手術療法が有効なことがあります。鼻閉感が強い方は耳鼻科で弯曲の程度を把握してもらうことをお勧めします。

鼻出血は、一般的にみられる鼻症状の一つで、お子さんの日常生活でしばしば起こります。
鼻出血で最も多くみられるのは、左右の鼻を真ん中で隔てている鼻中隔、その前端部からの出血です。この部位は鼻の穴に近いため乾燥しやすく、指で触りやすくもなっています。またこの部位は血管が豊富で薄いため、傷がつくと簡単に出血してしまいます。

この部位からの出血は圧迫止血が有効です。座った姿勢で少しうつむき気味にし、鼻翼を両方から強く押さえます。その際、のどに流れてきた血は吐き出すようにします。この状態を15分程度保持することで多くの場合は止血できます。

なかなか鼻血が止まらない、頻繁に鼻血が出る、という症状がある方は出血傾向の重大な病気が潜んでいる場合もあります。

小さなお子さんで、鼻の中におもちゃなどの異物を入れてしまい取り出せなくなってしまうことがよくあります。そのような場合、鼻内の異物を特殊な道具で取り出します。とくにボタン電池を入れてしまうと粘膜を損傷し、鼻中隔に穴が開いてしまうことがあるため、早期の対応が必要となります。